排出ガス規制
自動車全体における建設機械からの排出ガスは窒素酸化物(NOx)で約20%、粒子状物質(PM)で約10% を占めています。 このような機械化施工が大気汚染に与える影響の改善や建設現場の作業環境の改善を目的として、建設機械にも排出ガス規制が実施されています。 規制に適合するためには機械のエンジンの改良による対応だけでなく適正な燃料(軽油)を使用する必要があります。
【2011 年度版】 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(通称:オフロード法)について
- 指2006 年より、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」(通称:オフロード法)によるオフロード特殊自動車の使用規制が始まっています。
- 2011 年度の改正では、軽油を燃料とするオフロード特殊自動車について排出ガス規制の強化が行われ、PM(粒子状物質)の排出量が9 割削減とされました。
- 2014 年度の改正では、上記規制に加え、定格出力56kw 以上560kW 未満の機種はNOx排出量は9割削減されます。
規制導入の経緯
一般自動車の排出ガス規制が進んだことを受けて、特殊自動車の排出ガス規制も段階的に進めることとなりました。
- 一般自動車の排出ガス規制強化進捗→特殊自動車の排出ガス寄与率上昇 (自動車台数割合約7% に対し、PM 約15%、NOx 約32%(2000 年 推計))
- 公道を走行するオンロード特殊自動車の排出ガス規制を新規実施(2003 ~)
- 公道を走行しないオフロード特殊自動車の排出ガス規制を新規実施(2006 ~)
規制対象:特定特殊自動車(オフロード特殊自動車)
公道を走行しない特殊な構造の作業車(油圧ショベル、ブルドーザ、フォークリフト、普通型コンバイン等)
特徴▶オンロードのトラック等と違い、エンジンが高負荷・高回転で連続使用される頻度が多い。
- 建設機械:油圧ショベル、ブルドーザ、ロード・ローラ、クローラ・クレーン
- 産業機械:フォークリフト
- 農業機械:普通型コンバイン、一部の農耕トラクタ
「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」の規制の枠組み
※規制適用日以後の新型車は、排出ガス基準を満たす基準適合表示を付したものでなければ国内使用ができないという規制です。
2011 年度・2014 年度改正内容
- 排出ガス新試験モードの追加 ディーゼル特殊自動車の排出ガス試験として、現行の定常モード試験(8 モード法)に加えて、今後採用が想定される排気後処理装置の効果を適切に評価できるように、世界統一基準に規定されている過渡試験モード(NRTC モード)を追加します。 ※NRTC:Non Road Transient Cycle の略
- ディーゼル特殊自動車の排出ガス基準値の規制強化
ディーゼル特殊自動車の2011年目標値
自動車の種別 窒素酸化物 非メタン炭化水素 一酸化炭素 粒子状物質 ディーゼル黒煙 目標達成年 定格出力が19kW以上 37kW未満のもの 4.0g/kWh
▲33%0.7g/kWh
▲30%5.0g/kWh
0%0.03g/kWh
▲93%25% 平成25年 (2013年) 定格出力が37kW以上 56kW未満のもの 4.0g/kWh
0%0.7g/kWh
0%5.0g/kWh
0%0.025g/kWh
▲92%25% 平成25年 (2013年) 定格出力が56kW以上 75kW未満のもの 3.3g/kWh
▲18%0.19g/kWh
▲73%5.0g/kWh
0%0.02g/kWh
▲92%25% 平成24年 (2012年) 定格出力が75kW以上 130kW未満のもの 3.3g/kWh
▲8%0.19g/kWh
▲53%5.0g/kWh
0%0.02g/kWh
▲90%25% 平成24年 (2012年) 定格出力が130kW以上 560kW未満のもの 2.0g/kWh
▲44%0.19g/kWh
▲53%3.5g/kWh
0%0.02g/kWh
▲88%25% 平成23年 (2011年)
※表中の▲の数字は現在の規制値(平成18、19、20 年規制)からの削減率を示すディーゼル特殊自動車の2014年目標値
自動車の種別 窒素酸化物 非メタン炭化水素 一酸化炭素 粒子状物質 ディーゼル黒煙 目標達成年 定格出力が56kW以上 75kW未満のもの 0.4g/kWh
▲88%0.19g/kWh
0%5.0g/kWh
0%0.02g/kWh
0%25% 平成27年 (2015年) 定格出力が75kW以上 130kW未満のもの 0.4g/kWh
▲88%0.19g/kWh
0%5.0g/kWh
0%0.02g/kWh
0%25% 平成27年 (2015年) 定格出力が130kW以上 560kW未満のもの 0.4g/kWhg
▲80%0.19g/kWhg
0%3.5g/kWhg
0%0.02g/kWhg
0%25% 平成26年 (2014年)
※表中の▲の数字は2011年目標値からの削減率を示す。 - 少数生産車の基準の細目の改正 改正基準適用後は、改正前の基準による型式届出特定特殊自動車であったものか、改正後基準に適合した型式届出特定特殊自動車と同等の排出ガス性能を有するものとして下記に定める基準を満たすエンジンを備えたディーゼル特定特殊自動車が、 少数生産車として申請できることとなります。(なお、下記基準を満たすだけでは型式届出特定特殊自動車となれず、別途、エンジンの型式指定を受ける必要があります。)
少数生産車の基準の細目(改正基準適合車と同等の排出ガス性能を有するもの)の改正前後の比較表
定格出力 同等とみなす基準 改正前 改正後 19kW以上37kW未満 Tier2、StageⅢA Tier4 37kW以上56kW未満 Tier3、StageⅢA Tier4、StageⅢB 56kW以上560kW未満 Tier3、StageⅢA Interim Tier4、StageⅢB
備考- Tier2及びTier3は、Code of Federal Regulations Title40 Chapter1 Part89に規定する基準を、Interim Tier4及びTier4は、Code of Federal Regulations Title40 Chapter1 Part1039(以下「Part1039」という。)に規定する基準をいう。ただし、次に該当するものは除く。
- イ Part1039の§1039.102に記載の規定のうち、定格出力56kW以上560kW未満のPhase-outの基準
- ロ Part1039のSubpart Hに規定するthe averaging, banking,and trading program(以下「ABT program」という。)を適用したときに、ABT programのEmission creditsが負数となるthe family emission limit for the engine familyの基準
- StageⅢA、StageⅢBは、97/68/EC及びその改訂指令に規定する基準をいう。
- Tier2及びTier3は、Code of Federal Regulations Title40 Chapter1 Part89に規定する基準を、Interim Tier4及びTier4は、Code of Federal Regulations Title40 Chapter1 Part1039(以下「Part1039」という。)に規定する基準をいう。ただし、次に該当するものは除く。