Cat 建機 研究所
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自分でできるメンテナンス
2017年7月21日
建機メンテナンス入門【グリスアップ編】
せっかく手に入れた建機は長く元気に役立たせたいものですね。建機のことは詳しくないけれど、できる範囲でお手入れをして長く大事に使いたい。そんなメンテナンス初心者に、重要なお手入れ「グリスアップ」について紹介します。
グリスアップはなぜ大事?
建機に限らず、自動車や工作機械など、すべての機械はオイルやグリスで適切に潤滑した状態で使用されることを想定し、性能や耐久性が設計されています。潤滑状態を適切に維持するために必要なメンテナンスの一つがグリスアップなのです。
グリスアップには、摩擦を抑え、摩耗や焼き付きを防ぐ働きがあります。摩擦が大きくなると部位の滑りが悪くなり負荷が増えて破損してしまいます。結果、建機の寿命を縮めることになります。これらのトラブルを防ぐために、グリスアップは重要なのです。
グリスアップの注意点
建機を長持ちさせるためのグリスアップについて、注意点について紹介します。
グリスガン
グリスアップに欠かせない工具がグリスガンです。ニップルと呼ばれる給脂箇所にグリスガンの先端を差し込み、ハンドルを操作することで高圧のグリスを供給します。適切に扱わないと高圧のグリスが人体に当たり重大事故になりますので、注意してください。使用するときはパイプやねじ部にゆるみがないことを点検してください。保護メガネ、革製の手袋を必ず着用して使用ください。
指定部以外は脱脂しない
可動部に付着している油汚れ。きれいに掃除したくなっても「脱脂」には要注意です。なかには金属に油脂を染み込ませて潤滑させている部品があるからです。パーツクリーナーや溶剤などで脱脂してしまうと潤滑不足になってしまうことがありますので注意しましょう。
異なる種類のグリスを混ぜない
グリスには成分によって種類があります。混ぜてしまうと分離したり固まったりして、潤滑剤としての性能が落ちたり失われたりする場合があります。指定されたグリス以外を使用したり、量が足りないからといって異なる成分のグリスを混合したりすることは避けましょう。
異物混入に注意
グリスにほこりや砂が混入した状態でグリスアップすると、グリスに巻き込まれたほこりや砂粒などがヤスリのように機械を傷つけることがあります。グリスアップ前の清掃やグリスの保管方法には注意して、異物混入を防ぎましょう。
浸透潤滑剤は万能ではない
浸透潤滑剤は手軽に使えて滑りが良くなり、さびも落とせるので常備している方も多いはず。しかし、グリスアップの指定部にスプレーすると、グリスを洗い流してしまううえに、可動部に長く留まらないので潤滑不足の状態を引き起こすことがあります。浸透潤滑剤はグリスとは別物と考えたほうがいいでしょう。動きが良くなったら拭き取って、グリスを塗布してください。
グリスアップ作業の心得
建機を長持ちさせるために重要なグリスアップ、いよいよ実践してみましょう。適切なグリスアップにはちょっとしたコツがあります。
安全第一
まずは最も大事な安全についてです。グリスアップ作業を行うときの建機は、定められた駐機姿勢で完全停止が鉄則です。運転後の建機には高温になっている部分もありますから、やけどには注意が必要です。また、回転部や屈曲部などを可動させながらのグリスアップは危険なばかりか内部損傷の恐れもありますので絶対にやめましょう。
清潔第一
汚れたグリス、雨水に泥水などの異物混入を防ぐため、指定部はきれいな状態にしてからグリスアップしましょう。掃除の際は脱脂するのではなく、ウエスでの拭き取りがおすすめです。
整理整頓
グリスの保管方法も重要です。「〇〇のピンにはこのグリス」「△△の旋回ギヤ部にはこのグリス」というように、指定部ごとに使うグリスを容器に明記して保管しましょう。間違って異種グリスを混ぜてしまうことも防ぐことができます。
量や種類は取扱説明書で確認
ピンへの給脂は古いグリスが押し出され、新しいグリスが見えたら適量です。はみ出したグリスは拭き取りましょう。グリスの充填し過ぎは逆効果ですので箇所、種類、量などは取扱説明書で確認するか、ディーラに相談しましょう。すべての建機でグリスアップはとても重要です。日頃のメンテナンスを通じて愛機の調子を保つ効果がありますので、ぜひトライしてみてください。
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