Cat 建機 研究所
建設機械に関してのお役立ち情報をご提供しています。
建機活用術
2016年12月12日
コスト低減への道:消耗部品のコスト低減編
前回は、突発故障の原因と回避するためのポイントをご紹介しました。今回は「消耗品費のコスト低減」と題して、消耗部品のコストを低減するポイントについてご紹介します。
- 第一弾:コスト低減への道:足回り部品のコスト低減編
- 第二弾:コスト低減への道:運転経費編
- 第三弾:コスト低減への道:突発故障の回避によるコスト低減編
- 第四弾:コスト低減への道:消耗部品のコスト低減編
消耗品費
機械の稼働によって摩耗や消費され、使用できなくなる消耗部品にかかるのが消耗品費です。建設機械では、作業装置部品(バケット、バケットチップ、アダプタ、サイドカッタ等)、足回り部品(シュー、リンク、ブッシュ、アイドラ、スプロケット、キャリアローラ、ラバーベルト等)、バッテリ、グリスなどが消耗部品に相当します。
「消耗部品は交換しないといけないものだから仕方ない」とあきらめていませんか?確かに機械が稼働するほど消耗部品の交換頻度は高くなりますが、工夫次第で消耗品費を削減することはできます。
一般的に消耗品費は作業装置部品と足回り部品にかかる費用が大部分を占めており(図)、これらの費用を抑えることが消耗品費削減の重要なポイントとなります。
消耗品費削減のためのポイント
今回は、コスト削減効果が高いバケットチップとラバーベルトに焦点をあて、消耗品費削減のポイントをご紹介します。
現場環境に適したバケットチップの選択
CAT純正の標準チップはロングチップです。ロングチップはあらゆる現場に適したチップですが、摩耗が早いと感じられるお客様がいることも事実です。CATではロングチップを含め13種類のバケットチップを用意しており、お客様の現場に応じて最適なバケットチップをお勧めしています。もし、お客様が適切なバケットチップを選択できれば、チップの交換間隔は伸び、結果的に消耗品費を減らすことが可能だからです。
では、バケットチップをロングチップから現場に最適なチップに変えたことで、チップの交換費用を半分以下に削減した2つの事例をご紹介しましょう。
事例 1
■使用機械 : 950G
■年間稼働時間 : 2,400時間
■作業内容 : 製品積込
■材料 : コンクリートおよびアスファルトガラ(有鉄筋)
■チップ :ロングチップ ⇒ 掘削厚肉チップ
この現場では950Gのバケットチップ底部の摩耗が非常に早く、ロングチップでは厚みが薄いのではないかと前々からお客様は考えていました。そこで底部の厚みが大きい掘削厚肉チップを使用したところ、チップ交換間隔はロングチップの2.5倍、年間のチップ交換費用はロングチップ使用時よりも約55%も削減することに成功しました。
事例 2
■使用機械 : 320C
■年間稼働時間 : 2,000時間
■作業内容 : 原石積込と地山掘削
■材料 : 玄武岩
■チップ :ロングチップ ⇒ 掘削プラスチップ
この現場で稼働している320Cは発破した原石をダンプトラックに積み込むだけでなく、非常に硬い玄武岩の地山を掘削することもあり、お客様は摩耗しにくく、高い掘削性能(地山へのささり度合)を持つチップを探していました。そこで、耐摩耗性と掘削性能を兼ね備えた掘削プラスチップを使用したところ、交換間隔はロングチップの2.1倍、年間のチップ交換費用はロングチップ使用時よりも約57%も削減することに成功しました。
ラバーベルト装着車両の適切な運転操作
ラバーベルトを装着した車両は騒音が少なくアスファルトやコンクリートを傷つけないことから、下水道整備等の都市型土木で頻繁に使用されていますが、メンテナンスや運転操作が不適切だとラバーベルトが切れてしまい、消耗品費増大の原因となります。たとえば305D CRの場合、ラバーベルトの交換費用は約40万円にもなります。この費用はメンテナンスと運転操作に注意すれば発生しない費用かもしれません。
ラバーベルトの切断を防ぐためには何よりラバーベルトに大きな傷をつけないことが重要です。表面にいったん大きな傷が付くと、そこから水が浸入して、ラバーベルト内部のワイヤが錆び、結果的に切断につながります。
ラバーベルトに大きな傷をつけない運転操作のポイントは次のようになります。
ちょっとした注意でコスト低減が実現できますので、ぜひ今日からお試しください。
①運転操作前に必ず足回りの張りの状態を確認する
不適切な張り状態はラバーベルトに傷が付く原因となります。
②ラバーベルト上に土砂を乗せない
土砂に埋もれたラバーベルト周辺を誤って掘削してしまうと、バケットチップがラバーベルトに接触してしまう可能性があります。
③できるだけ平らな地面で操向を変える
鋭利な岩石や敷き鉄板の角などの上で操向するとラバーベルトが引っ張られて、傷が付いてしまいます。
機械が稼働すればするほどコストが上がる消耗品費ではありますが、適切なメンテナンスと適切な運転操作の実施、そして適切な部品の選択を実現できれば削減することが可能です。消耗品費に関して何かご不明な点がありましたら、一度こちらからご相談ください。
製品の買い替え、点検・修理など、お気軽にお問い合わせください!
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