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Cat 建機 研究所

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建機活用術

2017年2月23日

ラジエータのメンテナンスについて

ラジエータの役割は、エンジンを冷却し、オーバーヒートを防ぐことです。エンジン温度を一定に保たないと、オーバーヒートの発生につながることも。
ラジエータを風通し良くしっかりケアして、冷却回路を正しく機能させ、オーバーヒートを予防しましょう。

エンジン冷却回路の仕組み

オーバーヒートが発生するとその高熱によってエンジン部品を損傷するなど故障の原因になります。

冷却回路は、エンジンの温度をつねに一定の温度に保つために必要な装置です。春夏秋冬を通して外気温の影響を受けるだけでなく、走行中のアクセル開度や作業時の負荷に応じて、エンジンが出す熱量は変わります。

それらのすべてに対応し、冷却回路はエンジンの温度を一定にコントロールしているのです。

エンジン冷却回路の仕組み

エンジンが回転している間は、ウォータポンプの働きによって冷却水がたえず回路の中を循環して温度を調節しています。作業開始直後など、冷却水が冷えている場合には、ラジエータを通らない水路(青色の矢印)を循環し、水温がなるべく早く上昇するようにして暖機運転を助けます。

一方、作業を続けるうちに冷却水が熱くなってくると、水路を変えるサーモスタットが開き、ラジエータ経由(赤い矢印)で冷却水を冷やしてエンジンの温度を下げようとします。

建設機械のエンジントラブルの約半数は冷却系統が原因といわれており、故障の予防だけでなく機械寿命を延ばすためにもメンテナンスが大切になります。

エンジン冷却回路の仕組み

ラジエータの役割と清掃方法

ホコリやゴミ詰まりはオーバーヒートの原因

ラジエータの役割は、エンジンのオーバーヒートを防ぐ役割を果たしています。エンジンは燃料と空気を燃やして力を出し、そのときに発生する熱は非常に高温になり、エンジン構成部品を加熱してしまいます。エンジンが一定の温度以上に上がらないように、熱くなった冷却水を効率良く冷やし、エンジンを適温に保つ装置がラジエータです。

では、エンジンは一体どれぐらいの熱を発生するのでしょうか。たとえば0.8m3クラスの油圧ショベルを30分稼働させると、家庭用のお風呂(約200リットル)5軒分を沸かせるだけの熱を発生するといわれています。
一般的なラジエータの場合、エンジンの熱を吸収して熱くなった冷却水はラジエータの上部タンクから入り、コアと呼ばれる通路を通って下部のタンクへと流れます。コア部分を見ると、金属が細かい網目状になっています。

縦に走っているのがチューブと呼ばれる水の通り道で、横がフィンと呼ばれるものです。
フィンは表面積を広くするため波状の構造をしており、より多くの熱を空気中へ放出し、冷却水を効率良く冷やす重要な役割を担っています。

ですから、このコアの部分にホコリやゴミが詰まっていると、冷却効果が十分発揮できなくなります。
ラジエータの清掃の頻度は多いに越したことはありませんが、少なくとも1ヵ月に1度は行うようにしましょう。

ラジエータの役割と清掃方法

こまめな清掃でトラブルを予防しましょう

ラジエータの清掃を行うときは、圧縮空気や圧力水などの洗浄機を使用して、コア全体から土砂、紙くず、木の葉などをきれいに取り除きましょう。
とくに解体や産業廃棄物処理、畜産の現場では目詰まりが起こりやすくなりますから頻繁に清掃することをお勧めします。

こうした現場でご使用になる機械にはオプションとして、ラジエータコアのチューブの列を増やし、フィンのピッチを粗めにする対策や、風の向きを逆にするリバーシブルファンなども用意していますので、ぜひ、ご相談ください。

ラジエータキャップに傷が付いていないかどうかもチェックしましょう

ラジエータキャップの役割は、冷却水がこぼれないようにするだけではありません。

ラジエータキャップに傷が付いていないかどうかもチェックしましょう

ラジエータ内に圧力をかけることで沸点の温度を上げ、標高が高いところでも作業ができるようにする役割もあります。
ラジエータキャップに傷が付いていると、圧力がかかりにくくなり、オーバーヒートの原因になりますので、忘れずに確認してください。

ラジエータキャップに傷が付いていないかどうかもチェックしましょう

ただし、水温が高い時にはシステムに圧力がかかっているので、不用意にキャップを外すと熱湯が噴出し、やけどをする危険があります。
温度が低い時にキャップを外すように、注意してください。

冷却系統の清掃手順〈例:320E〉

※機種によって異なりますので、取扱説明書をご参照ください。

Step 1

サービスドアを開け、ラッチ①を回してエアコンコンデンサ②を固定しているロックを解除してください。

冷却系統の清掃手順〈例:320E〉

Step 2

エアコンコンデンサ②を開き、アフタークーラ③にホコリやゴミがたまっていないか点検してください。
たまっていた場合には、圧縮空気または圧力水[最高圧力200kPa(2.0kgf/cm2)]でアフタークーラの上方から取り除いてください。
清掃後はエアコンコンデンサ②を開いたときと逆の手順で閉じて固定してください。

冷却系統の清掃手順〈例:320E〉

Step 3

ラッチ④を回してアフタークーラのロックを解除し、ハンドルを持ってアフタークーラとエアコンコンデンサを引き上げてください※。
オイルクーラ⑤、ラジエータ⑥、燃料クーラ⑦、サービスドアの開口部⑧を点検し、ごみがたまっていた場合にはSTEP2と同様に圧縮空気または圧力水で取り除いてください。
清掃後はアフタークーラ及びエアコンコンデンサを押し下げて固定してください。

※引き上げたアフタークーラとエアコンコンデンサが戻らないことを確認してください。

冷却系統の清掃手順〈例:320E〉

注意しましょう

●圧縮空気または圧力水を使用する際は、保護メガネや防塵マスクなどの保護具を着用し、また、周囲への飛散物に注意してください。
●ラジエータが損傷すると、水漏れを起こしてエンジンのオーバーヒートにつながりますから、十分注意して清掃してください。

注意しましょう

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